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(93) 理想と夢想と現実
暫くnetから離れていましたが久しぶりにnetを覗いたら、AMLにも夢想主義の方が相変わらずおられましたね。
こちらは911ではなく、三浦和義氏に関するものです。
[AML 21735] 「二重の危険からの自由」は国境に制限されない人権原則です 御崎直人
タイトル通り前田朗氏の、「二重の危険の禁止は国内原則です」に対する反論の様で、自ブログのURLが貼付けられています。
http://blogs.yahoo.co.jp/felis_silvestris_catus/53972101.html
http://blogs.yahoo.co.jp/felis_silvestris_catus/54130514.html
http://blogs.yahoo.co.jp/felis_silvestris_catus/54593037.html
「あらためて反論させていただきます。」と言うことで再掲されたURLが、これ。
(1)http://blogs.yahoo.co.jp/felis_silvestris_catus/57031886.html
(2)http://blogs.yahoo.co.jp/felis_silvestris_catus/57032011.html
主な論旨は、「二重の危険の禁止」は国内原則ではない。 更に「二重の危険の禁止」という事自体が「人権原理」では無いので「二重の危険からの自由」とすべき、との事です。
言わんとするところは理解出来るし賛同もしますが、結局夢想に堕してしまう論理の見本です。
以下、投稿に沿ってみて見ます。
※ 「国内原則」論のどこに問題があるのか
前田先生の「国内原則」論とは、結局「日本政府・裁判所の判決は米国政府・裁判所の行動を規制することはできない」「国家の主権行使を他国が制限することはできない」に集約されます。
しかしそれは、第一に「二重の危険からの自由」という人権原則と、それぞれの国家・政府にそれぞれの国内での人権侵害行為を禁じた「二重の危険の禁止」という憲法原則を混同した誤りです。
第二に、したがって「禁止」という憲法原則の自明な国内性をどれほど論証しようと「自由」という人権原則を制限する根拠にはなりません。
これは水掛け論です。 個別と普遍の対立に過ぎない事を述べているに過ぎません。
第三に、「禁止」の対象判決に外国判決は含まれないとする根拠には外国判決を排除したカルフォルニア州法しかありませんが、法律が憲法の規定の制限の根拠とならないことは憲法と法の関係から明白です。
この論については、前田朗氏がちゃんと反論されています。
第四に、人権が国家や国境に制限されないことは、市民革命を実現した武装した市民によって国家に上から強制されたという人権の歴史的、本質的性格を考えれば明らかです。
「市民革命」とは何でしょうか? 何処の国で行われた事でしょうか? 少なくとも日本では有りませんね。
と言った瞬間に、国家・国境って言葉が現実になるのですが。
そもそも人権の根拠を憲法に求めるという思想は、憲法が市民の多数者によって変更可能であることを考えれば、少数者の人権を多数者の意志に従属させ、多数者による少数者の人権蹂躙を正当化してしまいます。
つまり「憲法」すら認められないと言うことでしょうか?
法律家の多くが人権を憲法や法律で説明しようとするのは、人権が何よって国家に強制されるか、法世界にとどまる限り見えないからです。リアルな現実世界において人権を国家に強制しようとする市民の闘いとそれに抵抗する国家・政府のせめぎ合いが、法世界に憲法や法として登場してきます。しかし、法世界の外に目を閉ざす法学者には、憲法や法に何か神秘的な力があるように感じられてしまいます。そこで「憲法が、法が…だから」とそれを絶対視する主張が出てくるのです。
少なくとも、日本には法の支配という概念は有りません。 有るのは法律の支配です。 で、この方は法律の支配すら超越しようとされているのでしょうか?
こうした法の物神化からは国家の無謬性というとんでもない主張すら出てきます。権力犯罪を弾劾する思想は絶対に出てきません。「国内原則」論は前田先生の意図がどうであろうと、三浦さんへの不当逮捕という権力犯罪を正当化する論理なのです。
どうして国家の無謬性に繋がるのかよく解りませんが。 法律を排除すれば確かに、普遍的な人権が得られるかも知れませんが他方、私刑も蔓延る事になりそうです。 それに何処までも国家に拘られていますが、それに代わる概念は市民だけでしょうか。 世界市民って夢想?
以下、前田朗氏の反論(っていうより、現実世界の住人への再確認?)です。
[AML 21784] Re: 「二重の危険からの自由」は国境に制限されない人権原則です maeda akira
(2) 国際人権規約は国内原則を明示している
御崎さんはウエブサイトで何度も何度も「逮捕は国際人権規約に違反する」と断言しています。しかし、何度繰り返し断言しても、全く意味がありません。国際人権規約14条7項は、明白に「国内原則である」ことを示しています。3月6日の[AML18507]「二重の危険の禁止は国内原則です」において、すでに次のように書きました。
「自由権規約(市民的政治的権利に関する国際規約)14条7項に二重の危険の禁止があります。自由権規約は、批准した当事国における国内人権の保障を求めた条約ですし、14条7項自体、「それぞれの国の法律および刑事手続きthe law and penal procedure of each country」ですから「国内原則」です。米州人権条約8条4項も二重の危険を定めていますが、この条約も各国における国内人権を求めたもので、「国内原則」です。 欧州人権条約第七議定書4条1項にも同様の規定があります。重要なので引用します。
「何人も、その国の法律および刑事手続きに基づいて既に確定的に無罪又は有罪の判決を受けた行為について、同一国の管轄下での刑事訴訟手続きにおいて、再び裁判され又は処罰されることはない。」
No one shall be liable to be tried or punished again in criminal proceedings under the jurisdiction of the same State for an offence for which he has already been finally acquitted or convicted in accordance with the law and penal procedure of that State.」
国際人権規約は、はっきりと「それぞれの国」と表記しています。国countryは、複数形ではなく、単数形です。欧州人権条約第七議定書も「その国that State」「同一国the same State」と、疑いの余地なく、はっきりと、国内原則であることを示しています。国際人権規約と欧州人権条約第七議定書は、細部の表現は異なりますが、同じ事を定めたものです。両者がまったく別物であるという主張を聞いたことがありません。条文に明示されていることを無視して、勝手に「国際原則である」と主張しても、どこにも通用しません。二重の危険の禁止の原則を国際的な関係に及ぼそうとした国際文書は、欧州犯罪人引渡条約以外にはないはずです。
無罪推定原則は国際原則として理解されています。世界人権宣言11条にも国際人権規約14条2項にも「それぞれの国」などの限定がありません。無罪推定と二重の危険の禁止の違いは、条文を一目見ればわかります。
条約法に関するウィーン条約31条は、条約の解釈に関する一般的な規則を明示しています。まず「条約は、文脈によりかつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に解釈する」としています。1966年に採択された国際人権規約14条7項は、その文脈、趣旨、目的からしても、明らかに「国内原則」です。当時、国際原則などと言う発想はどこにも存在しません。誰も唱えていません。もし、それが存在すると主張されるのであれば、条約法条約に従って、「条約の関係合意」「当事国が作成した文書」のなかで、「二重の危険の禁止は国際原則である」と明示した文書を示してください。「私はこう思う」と何十回唱えても無駄です。
(3)御崎さんの原則は架空の原則
御崎さんはウエブサイトでもML上でも、何度も何度も「人権原則」と断言しています。
第1に、御崎さんの願望はよくわかりましたが、国際社会にそのような原則は存在しません。観念としての人権論をできるだけ膨らませて考えたい、人権保障の範囲を広げたいという思考はよく理解できますし、思いは共有しているつもりですが、それは願望に過ぎません。(私も時々、願望の表明をします) 国際人権法の文書にも判例にも研究書にも見いだすことのできない特異な思考です。御崎さんの思考の中では整然と位置づけられているでしょうが、現実の国際社会には存在しない原則です。
第2に、仮に万が一、御崎さんの原則が存在したとしても、それも役に立ちません。国際法における「法源」は、国際司法裁判所規程38条に定められています。(1)国際条約、(2)慣習国際法、(3)「文明国が認めた法の一般原則」、(4)もっとも優秀な国際法学者の学説、です。
(1)御崎さんの主張を支える一般的な国際条約はありません。御崎さんの主張と全く逆の条約が複数あります。
(2)御崎さんの主張内容は慣習国際法の地位を得ていません。国際社会でそのような主張は一度も唱えられていません。
(3)御崎さんの主張は「文明国が認めた法の一般原則」ではありません。アメリカと日本が文明国かどうかは別として(笑)、イギリスもフランスもドイツも、ノルウェーもスウェーデンもデンマークも、おそらくイラクもイランもアフガニスタンも、そして中国も韓国も、私の好きなソロモン諸島もヴァヌアツもサモアもニウエも、御崎さんのような主張を唱えたという話は聞いたことがありません。御崎さんの主張はどこにも通用しない、願望としての原則です。
(4)国際法学者の学説も「法源」となることがありますが、すでに3月6日に私が書いたように、人権高等弁務官事務所および国際法曹協会の本でも二重の危険の禁止は国内原則として扱われていますし、旧ユーゴスラヴィア国際法廷所長だったカッセーゼの本でも「国内原則だ」とはっきりと書かれています。いかなる意味でも御崎さんの原則は、論外というしかありません。
「それでも人権原則だ」と唱えるのはご自由ですが、現実の国際社会と無関係ですし、国際人権法とも無関係です。根拠のない人権のインフレーション宣言は、将来の可能性を持ってはいるかもしれませんが、あくまで将来の可能性です。
書き始めると結構長くなるものですね。細かな論点は他にもたくさんありますが、以上にします。人様の夢にお付き合いするのは私の趣味ではないので、これで勘弁してください。夢は一人で見ましょう。よろしくお願いします。
※早い話が、寝言は寝て言えって事です。
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